
文・御嶽亜由美(みたけ行政書士合同事務所)
ここまで4回にわたって、おひとり様の終活についてお伝えしてきました。読み進めるうちに、「自分にも関係がありそうだ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
同時に、こうも思われたのではないでしょうか。「色々あるのはわかった。でも、結局何から手をつければいいのか」。
今日は、その「最初の一歩」についてお話しします。
いきなり契約を結ぶ必要はありません
まずは、自分の考えを書き出してみるのをおすすめします。エンディングノートは法的な効力を持つものではありませんが、「何を望んでいるか」を自分自身で整理する、最初の一歩になります。
将来、遺影として使う写真を撮りに行くのも、具体的な一歩を踏み出すきっかけになります。形から入ることで、気持ちが整理されることもあります。
もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。例えば、当事務所のエリアである立川市では、市役所に行政書士による終活相談の窓口があり、無料・予約制で相談できます。「まずは話を聞いてみたい」というときに使える場が、既に地域に用意されているということです。
お住まいの自治体でも、同じような窓口があるかもしれません。一度、確認してみる価値はあります。
全部を、一度にやる必要はありません
終活と一口に言っても、その中身は多岐にわたります。それぞれの関係を整理すると、次のようになります。
任意後見契約・死後事務委任契約
判断力が低下したとき、そして亡くなった直後、誰に何を託すかを決めておくものです。これまでの記事でお伝えしてきた内容です。
財産管理契約・見守り契約
任意後見が始まるのは、判断力が低下してからです。それより前の「判断力はしっかりしているが、体が思うように動かない」という段階には、財産管理契約(預貯金の管理などを代わりに行ってもらう契約)や、見守り契約(定期的に様子を確認してもらう契約)という選択肢もあります。ただし、財産管理契約は判断力があることが前提のため、判断力が低下した時点で任意後見に切り替える必要があります。いきなり任意後見からではなく、こうした軽い形から始めることもできます。
遺言
亡くなった直後、任意後見人の役目は終わります。契約は、本人が亡くなった時点で終了するからです。それでも銀行の手続きなどが必要になった場合、任意後見人ができることは、法律上ごくわずかです。「もう権限がないのに、なぜかその場で対応してしまっている」という、グレーな状態になりかねません。
ここを補うのが遺言です。任意後見人を遺言執行者に指定する遺言を作成しておけば、亡くなった後も、財産に関する手続きを、はっきりとした権限を持って進めることができます。
遺言と任意後見・死後事務委任は、優先順位をつけて片方を選ぶものというより、組み合わせて初めて空白が埋まる関係にあります。
尊厳死宣言
延命治療に関する意思表示です。これは、終末期という特定の場面に備えるものであり、他の制度とは性質が異なります。
「全部一気に」と考えると、動けなくなってしまいます。まずは、自分にとって一番気になるところから、一つずつ整理していけば十分です。
誰に相談すればいいのか
相談先も、一つではありません。
頼れる家族や友人がいれば、それも一つの方法です。
社会福祉協議会は、福祉の入り口・相談窓口として機能します。自治体によっては、社協自体が死後事務の受任者になる動きも出てきています。まずお住まいの自治体の社協に問い合わせてみる価値はあります。
契約書の作成や、公正証書化など、具体的な手続きが必要な場合は、行政書士などの専門家にご相談ください。地域によっては、行政書士会や司法書士会が自治体の終活相談業務を担うなど、行政とも連携しています。
今からできることを、一緒に整理しましょう
「何から始めればいいかわからない」——それ自体は、決しておかしなことではありません。多くの方が同じところで立ち止まります。
当事務所の通常の面談は有料ですが、無料でご相談いただける機会も設けています。まず話を聞いてもらいたいという方は、お気軽にご連絡ください。
📞 070-9009-4145
【お知らせ】
終活ミニ相談会を開催します
「元気で生きよう PROJECT vol.1」
2026年10月24日(土)10時〜15時
会場:グリーンホール(中野区大和町2-2-17)
西武新宿線 野方駅 徒歩8分/関東バス 八幡前バス亭 まん前
参加自由・予約不要・雨天決行・終活ミニ相談無料。
耳の不自由な方、外国人の方も大歓迎です。落語・耳つぼジュエリー・お花のリースなど、ほかのブースもあります。気軽にお立ち寄りください。
